離婚に向けての別居をする前に

別居している夫婦であっても、民法上で婚姻費用を受け取る権利がある

民法上、夫婦には同居する義務があります。ゆえに、離婚に向けて別居する際には、相手側の同意を得る必要があります。相手側の同意が得られなければ、有利な離婚ができなくなってしまう可能性があります。ただし、相手にDVがあるなど、緊急的に家を出ることに正当性がある場合については除外されます。

別居したものの、これまで夫の収入でやりくりしていた専業主婦などの場合には、経済的に困窮した状態になってしまいます。民法上では、夫婦は婚姻から生じる費用を分担すると決められており、夫から「婚姻費用」を受け取ることができます。別れて暮らしていて同居していない夫婦であっても、夫婦である以上、婚姻費用を受け取る権利を有しています。
婚姻費用の額については、夫婦の話し合いで決めることもできるのですが、家庭裁判所には、「婚姻費用算定表」というものが存在しています。これは、夫婦の年収や子供の数に応じて、婚姻費用の金額を決めたものです。実際に夫婦で話し合いをする場合にも、この算定表を参考資料として、婚姻費用の額を決める方が多いようです。
婚姻費用算定表を参考にして、夫婦の話し合いによって婚姻費用が決まればよいのですが、中には話し合いで解決しない夫婦も存在しています。その場合には、家庭裁判所において婚姻費用分担調停を行うようになります。調停による話し合いでも解決しない場合には、審判という手続に移行して、最終的には婚姻費用を、裁判官に決めてもらうようになります。

別居状態がある程度年数が経過していないと、裁判所に離婚を認めてもらうのは難しい

およそ5年~10年の期間、別居状態にある場合には、「夫婦関係は破綻してる」とみなされて、通常、裁判所に離婚を認めてもらうことができます。別れて暮らし始めて、年数が経過しない間に、訴訟を起こして認めてもらうためには、法律上の正当な理由が必要となります。ただ単に性格の不一致などの理由では、裁判所は認めてくれません。不貞行為や配偶者のDVなどは、婚姻関係を継続しがたい正当な理由として、裁判所に認められます。

子供の親権は同居している親に認められやすい

ちなみに、子供の親権については、同居している方の親に認められやすいという傾向があります。子供を置いて家を出て行った側には、親権が認められない可能性が高くなります。ゆえに、婚姻関係を解消した後に、子供の親権が欲しい場合には、別れて暮らす際にこのことも考慮に入れておかなければいけません。
また、別れるために正当な理由となる不倫やDVの証拠集めは、別れて暮らし始めた場合には、証拠収集が困難になりますので、同居中に証拠をできるだけ押さえるようにしましょう。